ヘッドスパ大好きなスパニスト、杉山かおりです。
私の祖父は95歳現役鍼灸師です。目が見えないという事もあり、また時代背景を考えても、当時、好きな仕事に就いたわけではないかもしれません。でも今こうして続けている理由を｢好きになっちゃったからしょうがない｣と笑って話してくれます。｢好きは強い｣これは私もよくわかっています、それがどんなに幸せなことかも。
もう70年以上もやっている仕事、好きだとか楽しいと思えるようになったのは45歳くらいの時からだそうで、きっとそれまでには大変な苦労も葛藤もあったのだと思います。患者さんに祖父を紹介をしてくれた小児科の先生の存在、西洋医学的に学ぶ鍼灸の理論で祖父がこの人から学ぼうと決めた先生の存在、同じように鍼灸師として頑張る仲間の存在、祖父の治療を頼りに来てくれるお客さん、たくさんの人と関わりながら、今の好きにたどり着いたのかな、と。
好きなことだからといっても仕事は大変です。聞けば周りから驚かれるような働き方をしていた時期もあったようで、その頃は夕飯を食べた後にも遅くまで治療をしていたようです。体力もあったのでしょうが、それでも好きだから続けられるし、頑張れたんだと思います。
そんな仕事熱心な祖父は一番年の離れた家族ですが、とにかく優しく私のことを良く理解してくれていて、いつも私の周りの人に感謝してくれて、大切な事を教えてくれます。近くにいられることが私にとっても幸せで、なんだかんだ理由を付けて鍼をしてもらい、会いに行っています。
〈いつもイヤホンで何かを聞いている、鍼の勉強（多分これはすごい回数、同じ内容を繰り返し聞いているようです）だったり、小説の朗読だったり、ラジオ番組も、いつも情報収集してる。〉
この年で頼られる存在であることが素晴らしいと思うし、これだけ続けてもなお伸びしろがあり、自分の鍼に納得できてないという祖父。｢去年より今年の方がまだ上達してるよ｣と言う。鍼灸師のように指先を使いながら話をするようなお仕事は脳が衰えにくいと聞いたことがあるけれど、本当に驚くほど記憶力が良く、治療に来た方の名前、住所、悪いところ、予約もしっかり頭に入ってる。左手をメモにしないとすぐ忘れてしまう私とは大違い。
高校卒業するときに、美容師か鍼灸師か迷った私は美容師を選びました、美容師も大好きなお仕事です。でもこうして今は人の健康と癒やしに関わる方へシフトして行ったのは、祖父の影響がきっと大きい。時間は戻せないので選べない選択ではあっても、高校生の私がもし鍼灸師を選んでいたらどんな人生だったでしょう、きっといろんな事が全く違っていただろうと思います。
いつか許される条件が揃ったら、鍼灸の勉強もしてみたいと密かに思っています。ここに今書いてる時点で密かかと言っていいのかは疑問ですけど、笑。
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