やっぱりヘッドスパ好き

やっぱりヘッドスパが好き⑨

ヘッドスパの勉強は学科から始まります。EraLは厚いファイルにとじられたテキストがあり、ヘッドキュアは皮膚科学、毛髪科学の内容から、血液・血流、リンパ、筋肉、ターンオーバー、ツボなどの仕組みを教えてもらいます。バランスキュアに至っては染色体の構造や骨のことについてまで加わり、姿勢や筋肉と骨の関係性にまで及びます。「髪と頭皮のお医者さんになるつもりで、学んだことをアドバイスと施術で提供してください」と言われました。こんなマニアックな勉強、楽しくないわけがない!特にオタク気質な私なので。今でも人体の不思議な仕組みが面白くて仕方ないです。つい好奇心から鍼灸師さんや整体師さんにも施術してもらいながら、その分野からの原因の考察やアプローチを聞いてしまったりします。

体の仕組みがわからないと「なぜヘッドスパが必要なのか?」が理解も説明もできません。髪が傷んだり、年齢により変化する理由だったり、頭皮環境のいい状態・悪い状態を把握することだったり、いろんな事を知った上で「では私たち美容師が、美容室ですることは?」になります。ヘッドキュアの施術は基本ですが、それだけでは全然足りません。もちろんシャンプーや洗い方などのホームケアも大事だし、運動や食事や生活習慣も大事です。キレイな髪を保つためには、ただ美容室に通っていればいいというわけではないことは、勉強した内容の奥深さからも明らかでした。

未経験からharuオープンをきっかけに学んだヘッドキュア、効果がでた状態は資料でしか見ていなかったのですが、勉強した内容に基づく理論と技術は、疑うことなくお客様に喜んでいただけると思っていました。とはいえ施術後のすっきり感は自分でも体験していましたが、続けていくことでの成果を実感するには時間がかかりました。その成果にはっきりと気がついたのは2年後くらい。お客様から「髪がキレイになった実感がある。周りの人に髪を褒められるようになった。」などと教えていただき、続けてもらうことの大事さと確実に結果がでる施術なことを確信しました。「お客様の声を聞く」と言うのは、まさにこういうことなんだなとも思いました。haruでは、髪についての困りごと、キレイになりたいという要望、美容室での過ごし方、いつだってお客様は「美容室で叶えたいこと」を私にお話ししてくれていました。そう気づいたときに、真摯に向き合えばヘッドキュアを通じて、お客様の本当の理想を叶えていくことが出来ると実感できました。

美容師にとって自分が良いと思っているものをお客様も気に入ってくれて、その効果を一緒に喜べるって最高ですよね。月に1cmほどしか伸びない髪を、生まれ変わらせ育てていく共同作業。毛先までキレイになっていく様子と笑顔、お客様に喜んでいただける事が美容師のやりがいです。髪がキレイになっていくこと、haruで過ごす時間を通じて変わっていく価値観。そんな変化を目の当たりにしているとヘッドキュアは外見だけでなく内面(心)にも作用するんだなと思いました。これもお客様が気づかせてくれたことのひとつ。美容室では美容師が技術提供をすることが仕事ですが、私はお客様からはそれに対する対価以外にも、たくさんの気づきや学び、喜びと幸せをいただきました。

ひとりで始めたharuですが、今はスタッフが増えています。スタッフが私の話を聞いてヘッドスパの施術について「私と杉山さんの違いはなんでしょう?」と聞かれました。私は「気にするところは私との違いではない」と答えました。ヘッドスパサロンという今までと違う環境に不安なのがよくわかりました。ですが、私には喜んでもらえるという確信しかなかったし、一生懸命練習してくれたスタッフの技術を気に入ってもらえるということも感じていたので、私の経験から「それは、お客様が教えてくれるから。お客様はきっと変化を喜んでくれるから、それを一緒に喜べばいいし、そうなればわかるよ。」と付け足しました。そのときは、すぐには出ない答えがあることを知り、さらに不安になったかもしれませんが、そんな彼女は今では部屋から笑い声がたえないと、スタッフに聞きました。城北店2年目、きっと実感できてるんじゃないかなと思います。

美容と美容を通じておこるハッピーな変化が大好きです。こうして書きながらもヘッドスパも美容師も、ほんとに素晴らしいと思うのでした。